コラム

ドローンに関わる法律とは?

ドローンに関わる法律とは?

仕事でも趣味でも活躍しているドローン。

自由に空を飛び回るドローンに心躍る人も多いのではないでしょうか。

そんな注目のドローンですが、ドローンに関する新たなルールが2022年12月から始まることをご存じですか?

ドローンによる事故や事件を防ぐ目的で新たなルールが加わることになりました。

ここでは、ドローンに関する法律やルールについてや2022年から新たに変わるルールについてご紹介します。

新しいルールもしっかりと理解して安全にドローンを楽しみましょう。

ドローン操縦に関する法律やルールはあるの?

ドローンを安全に飛行させる目的で日本にドローンに関する法律やルールがいくつか存在します。

安全に楽しむためにもまずは法律やルールを理解してからドローン操縦をスタートさせましょう。

法整備のきっかけ「総理官邸ドローン落下事件」とは

「総理官邸ドローン落下事件」とは、ドローンの法律やルールをつくるきっかけとなった事件です。

平成27年4月に総理官邸のヘリポートにドローンが落下するという事件がありました。

国はドローン操縦者やそのドローン飛行の目的を調査しましたが、未だ不明です。

この事件がきっかけとなり、ドローンの法整備化を進めようという動きが始まりました。

ドローンに関わるルールの全体像について

まずはドローンに関わる法律やルールの全体像を把握していきましょう。

  1. 航空法
  2. 小型無人機等飛行禁止法
  3. 電波法
  4. 都道府県・市町村などの条例
  5. プライバシー・肖像権や個人情報保護法
  6. 私有地(民法)
  7. 道路交通法
  8. 河川法・海岸法
  9. 港則法・海上交通安全法
  10. 都市公園法・自然公園法
  11. 重要文化財保護法
  12. ドローンの登録制度
  13. リモートIDの搭載
  14. その他

では、法律やルールについて1つずつご紹介します。

航空法

航空法

航空法とは、その名の通り「空に関するルール」のことです。

ドローンだけに関わらず空全般に関する様々な決まりが記載されています。

この法律は国土交通省の管轄です。

航空法の中でドローンに関する基本的なルールは大きく分ける2つ(「飛行禁止空域」と「飛行の方法」)あります。

飛行禁止空域

ドローンには飛行してはいけない空域「飛行禁止空域」があります。

許可がないと飛行できない場所が多いので、事前に確認しておきましょう。

飛行禁止空域空域の説明許可について
空港周辺飛行機空港など、離着・着陸する場所周辺※1国土交通大臣・施設管理者・都道府県公安員会などの許可があれば飛行できる
緊急用務空域緊急時(災害など)の航空機の安全な航行に関わる空域※2国土交通大臣の許可があれば飛行できる
150メートル以上上空地上または水面から150メートル上空ドローン制御が困難なことが理由国土交通大臣の許可があれば飛行できる
人口集中地区※3人や家が密集している地域の上空ドローンが落下した場合の被害が大きくなる可能性が高いことが理由国土交通大臣の許可があれば飛行できる
国の重要な施設等の周辺国会議事堂首相官邸危機管理行政機関皇居御所政党事務所 など施設管理者・都道府県公安員会などの許可があれば飛行できる
外国公館の周辺外国の公館上空周辺施設管理者・都道府県公安員会などの許可があれば飛行できる
防衛関係施設の周辺防衛関係施設周辺の上空施設管理者・都道府県公安員会などの許可があれば飛行できる
原子力事業所の周辺原子力発電所など、原子力事業所周辺の上空施設管理者・都道府県公安員会などの許可があれば飛行できる

※1大型空港(那覇・福岡・関西国際・大阪国際・中部国際・東京国際・成田国際・新千歳)は、以下の場所も禁止されています。

  • 空港周辺の進入表面
  • 転移表面・水平表面・延長進入表面
  • 円錐表面・外側水平表面上空
  • 進入表面or転移表面の下、もしくは空港敷地上空

※2災害等で緊急事態の場合は、緊急用務空域が新たに設定されることがあります。

事前に許可を取っていても、許可を取った場所が緊急用務空域に指定された場合は、その場所で飛行できなくなることを覚えておきましょう。

※3人口集中地区は、国土地理院HPにある「地理院地図」地理院地図 / GSI Maps|国土地理院を見て確認しましょう。地理院地図の中で赤くなっているところが人口集中地区です。

人口密集地に関しては現時点ではドローン飛行ができませんが、2022年から始まる新ルー

ルでは、免許取得者は飛行可能になるところも出てくる可能性があります。

このような新ルールについては、下に示している「2022年新たな法規制スタート」で詳し

くご紹介します。

このように航空法では飛行禁止空域が定められています。

禁止空域かどうかはっきりと分からない場所を飛行させたい場合は、自分で判断せずに国土交通省に確認しましょう。

では、次に「飛行の方法」をご紹介します。

飛行の方法

飛行できる場所だけでなく、飛行方法にもルールがあります。

これからドローンの飛行方法についてご紹介します。

飛行方法説明許可について
飲酒時は飛行禁止飲酒しているときに飛行させてはいけないそもそも不可
危険な飛行禁止人・モノに向けてドローンを飛ばすなどの危険な飛行をしてはいけないそもそも不可
夜間は飛行禁止夜間にドローンを飛行させてはいけない国土交通省の許可があれば飛行できる
目視外の飛行禁止操縦者が目視できないところを飛行させてはいけない*国土交通省の許可があれば飛行できる
距離を確保第三者・第三者の建物・第三者の車などから30メートル未満の距離で飛行させてはいけない国土交通省の許可があれば飛行できる
催し場所で飛行禁止お祭り・イベントなどで人が多く集まる場所の上空で飛行させてはいけない国土交通省の許可があれば飛行できる
危険物の輸送禁止危険物(毒物・引火性液体・火薬・凶器など)を輸送してはいけない国土交通省の許可があれば飛行できる
物質投下の禁止ドローンから物を投下してはいけない国土交通省の許可があれば飛行できる

細かな規定などを確認したい場合は、国土交通省に確認しましょう。

もしも航空法違反をしたら?

もし、航空法違反にあたった場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

実際に許可が必要な空域で許可を取らず飛行させたことによって逮捕された事件もあり、その件数は年々増えています。

ドローン操縦者にとって航空法を理解しておくことは大切です。

【適用範囲外】航空法

ドローンに関するルールがいくつか定められている航空法ですが、適用外になるパターンが3つあるので確認していきましょう。

100g以下の機体

100g以下の機体(ドローン)は、航空法適用外になります。

理由は、100g以上の機体をドローンとして定義しているからです。

ただし、100g未満のドローンはラジコンなどと同じ小型無人機に分類されます。

小型無人機等禁止法の適用になるので注意しましょう。

小型無人機等禁止法では…

重要施設もしくはその周辺地域上空の飛行を禁止しています。

つまり、空港周辺などでの飛行は100g未満のドローンでも原則的に禁止なので、注意しましょう。

詳しくは、小型無人機等禁止法について下記でご紹介します。

屋内飛行

屋内での飛行も適用外です。

屋内とは、室内・ネットで四方を囲んでいてドローンが外に出ていかない環境のことを示します。

救助目的の特例

災害や事故など緊急事態の場合でのドローンの利用も適用外になります。

ただし、国や自治体の許可や依頼が必要です。

では、他にもドローンに関するルールはあるのでしょうか。

次に説明していきます。

航空法以外のルール

航空法以外のルール

ドローンには航空法の他にも様々なルールや規定があります。

これから、それらのルールについてご紹介していくので、ドローン操縦を始める前に確認しましょう。

小型無人機等禁止法

この法律は、ラジコンやドローンなどを含む無人の小型飛行機について定められたルールを示したものです。

ドローンに関しては、「国の重要な施設付近での飛行」が禁止されています。

100g未満のドローンも適用される法律なので注意しましょう。

【重要施設とは】

  • 国会議事堂
  • 内閣総理大臣官邸
  • 外国公館
  • 原子力事業所
  • 空港 

【違反した場合】

1年以下の懲役・50万円以下の罰金の可能性があります。

電波法

電波法とは、無線等から発せられる電波に関するルールです。

ドローンで使用できる電波は国によって決められていますが、それ以外の電波を発していた場合は電波法違反になってしまいます。

「総務省が定める基準を満たした無線設備を示す快適マーク」が付いているドローンであれば安心です。

都道府県・市町村などの条例

都道府県や自治体でも独自のドローンに関する条例を出しているところがあります。

ドローンを飛行させる場所にそのような条例がないかどうか注意しましょう。

東京都

全てのドローン(100g未満も含む)の都立公園での飛行禁止

東京都足立区

体育館を含む11か所で独自ルールがあります。

また、国土交通省が認定した団体の技能証明がある人のみ操縦が可能です。

プライバシー・肖像権や個人情報保護法

ドローンを利用して撮影した映像や写真に第三者が写っていた場合に、勝手にインターネット上に上げると、プライバシー侵害や個人保護法侵害になる可能性があります。

意図せず第三者が写った場合でも、勝手にインターネット上に掲載しないように注意しましょう。

【このようなケースにも注意!】

  • 住宅地を勝手に撮影しないようにしよう!
  • 高層マンションでは住居内にカメラを向けないようにしよう!
  • ナンバープレート・人の顔・表札・住宅内の住人の姿などが写ってしまった場合は、削除するかぼかして分からないようにしよう!

私有地(民法)

私有地の上空は、その土地の所有者に所有権があると考えられていますが、民法は私有地上空のドローン飛行そのものを禁止しているわけではありません。

あくまで土地所有者とドローン操縦者との直接的なやり取りの中でこの法律が適用されます。

つまり、土地所有者はドローン操縦者によってドローンによる侵入を受けた場合は、損害賠償請求できるということです。

私有地上空を飛行する場合は、都市所有者の許可を得るようにしましょう。

道路交通法

道路交通法とは、道路での交通の妨げになることを違反と考える法律です。

ドローンによる道路交通の妨げになるような行為は禁止されています。

歩道・車道でドローン離陸・着陸、交通阻害の可能性がある場合は事前に「道路使用許可」が必要になるので注意しましょう。

ただし、上空から道路を撮影する場合は、許可は必要ありません。

河川法・海岸法

河川法・海岸法とは、河川・海岸におけるルールを定めた法律です。

この法律では、河川・海岸は基本的に自由に使用できることを示しています。

そのため、ドローンの飛行も基本的に禁止されていません。

ただし、河川・海岸管理者がドローン飛行の自粛を操縦者に求めることは可能となっているので、飛行させたい河川・海岸の管理者に事前に確認しましょう。

【淀川はドローン飛行禁止!】

ちなみに、大阪府にある淀川はドローン飛行が禁止されています。

このように、河川や海岸によっては管理の目的でドローン飛行を禁止していることもあるので、注意しましょう。

港則法・海上交通安全法

港則法・海上交通安全法は、海上の船に関するルールを定めた法律です。

基本的に海上でのドローン飛行は自由ですが、船舶の交通に支障が出そうなケースに関しては事前の許可が必要なので注意しましょう。

海上で行うドローンイベントなどは許可が必要です。

都市公園法・自然公園法

都市公園法とは、都市公園に関するルールを定めた法律です。

都市公園の多くは管理上の目的でドローン飛行が禁止されています。

公園への持ち込み禁止物にドローンが含まれている場合は、飛行禁止であるケースが多いので注意しましょう。

自然公園法とは、自然を保護するために定められた自然公園に関する法律です。

自然公園は基本的にドローン飛行が可能な場所が多いですが、場所によっては立ち入り禁止区域などもあるので、事前に確認しましょう。

重要文化財保護法

重要文化財保護法とは、国の重要文化財を守るために定められている法律です。

この法律で直接ドローン飛行を禁止しているわけではありませんが、重要文化財がある土地の上空でドローンを飛ばしたい場合は、土地の所有者の許可を得るようにしましょう。

【姫路城ではドローン飛行禁止!】

国の重要文化財である姫路城は、ドローンの飛行自体を禁止しています。

特別な許可がないとドローンの飛行ができないので、注意しましょう。

その他

ドローンの飛行に関してはその土地独自の自粛願いなどが出ていることもあります。

ドローンを飛行させたい場所が、そのような場所でないか事前に地図や管理しているところに確認するようにしましょう。

ドローンが飛ばせる場所は結局どこ?

ドローンが飛ばせる場所は結局どこ?

今までドローンに関する法律やルールをたくさんご紹介しましたが、ここまで読んでみて

「じゃあ、どこでドローンって飛ばせるの?」

と思った人も多いのではないでしょうか。

これから、簡単にドローンが飛ばせるエリアを見分ける方法をご紹介します。

アプリを使おう

ドローンを飛行させることができる場所を簡単に見分けられるアプリも開発されています。

そのようなアプリを使って確認するのもおすすめです。

【おすすめアプリ】

  • SORAPASS
  • ドローンフライトナビ
  • DIJフライトマップ
  • ドローン飛行チェック
  • AIRMAP
  • 国土地理院

では、次に2022年からスタートする新ルールについてご紹介します。

【2022年】新たな法規制スタート

2022年に新たなドローンの法規制がスタートします。

これから新しく制定されたドローンに関するルールをご紹介するので、これからドローンを操縦したい人・今までドローンを操縦していたけど新たなルールについてよく知らない人は、ぜひチェックしてみましょう。

ドローンの機体認証制がスタート

2022年6月からドローンの機体認証制度がスタートします。

機体認証制度とは、100g以上のドローンの機体の所有者・所有者住所・機体情報などを登録するという制度です。

ドローンの安全な飛行を実現させるために、機体認証制度がスタートしました。

機体認証性がスタートすると誰のドローンがどこを飛行しているかが明らかになります。

ドローン飛行のための申請ときに登録番号が必要になるので、ドローン飛行を行う前にまずは登録システムから登録するようにしましょう。

リモートIDの搭載がスタート

2022年6月以降に登録したドローンにはリモートIDを搭載する必要があります。

リモートIDとは、車でいうナンバープレートのようなもので、このIDを搭載することによって登録番号や所有者が分かりやすくなるというメリットがあります。

操縦者技能証明制度がスタート

2022年12月にドローン操縦者の技能を証明する制度がスタートし、免許制が導入されます。

ドローン操縦者ライセンスを取得するためには、国の試験(学科・実地)を合格する必要があり、試験を合格すれば16歳以上から免許を取得することができます。

機体や飛行の種類によっては免許が必要になるので注意しましょう。

認定資格はどうなる?

民間のドローンスクールで取得できる民間資格がドローン分野でもたくさんありますが、免許制になるとどのような扱いになるのでしょうか。

民間のドローンスクールの中でも国が認定したスクールで認定した免許を持っている場合は、国の試験の一部が免除されることもあります。

また、資格を持っていることが技能の証明にもなるため、認定資格を持っていると仕事にも有利に働く可能性もあります。

レベル4飛行ができる?

ドローンの飛行には4つの飛行レベルがあります。

レベル4は4つの中で最も難易度が高い飛行レベルです。

今まで、ドローンの飛行でレベル4の飛行は禁止されていましたが、免許制になると免許取得者はレベル4の飛行が可能になります。

レベル飛行形態
レベル1目視ありで手動操縦する飛行形態 目視内操縦あり農薬散布空撮点検業務 など
レベル2目視ありで自動運転する飛行形態 目視内操縦なし空中写真測量ソーラーパネル点検
レベル3人がいないところを目視なしで操縦する飛行形態 目視外無人地帯山間部への荷物輸送被災地調査インフラ点検
レベル4市街地などを目視なしで操縦する飛行形態 目視外有人地帯市街地への荷物輸送被災時の救助消火活動の支援

このように2022年以降新たにドローンに関してのルールが変わります。

新たなルールもしっかりと理解して安全に快適にドローン飛行を楽しみましょう。

では、次にドローンに関して困ったときに相談できる窓口をご紹介します。

ドローンに関して迷ったときはここに相談しよう

ドローンに関して迷ったときはここに相談しよう

ドローンに関して分からないこと・困ったことがあった場合は、国土交通省の無人航空機ヘルプデスクに連絡しましょう。

【国土交通省無人航空機ヘルプデスク】

電話番号:050‐5445‐4451

受付時間:平日9時~17時(土日祝日・年末年始は休み)

ドローンに関しては自己判断でいろいろなことを決定せず、分からないことがあれば専門家に相談するのがおすすめです。

まとめ

空を自由に飛行するドローンですが使い方によっては人や物を傷つけてしまう恐れがあります。

そのような事故を防ぐために、航空法をはじめさまざまなルールが制定されています。

ドローンを安全に飛行させるためには、まず操縦者自身がドローンについての法律やルールを把握しておくことが大切です。

また、2022年にはドローンに関する法律が変わり機体認証制度・免許制度など新たな制度が加わります。

新たな制度もしっかりと理解して安全に快適にドローン飛行を楽しみましょう。

この記事の監修者

ドローン資格認定講習団体「PROSPER Drone Japan」代表小林和夫

一般社団法人日本ドローン協会 大阪支部 副支部長 小林和夫

PROSPER Drone Japanは一般社団法人日本ドローン協会の認定講習団体として大阪を拠点に和歌山、兵庫、奈良、京都、滋賀、岐阜、愛知、沖縄(宮古島)にて幅広く活動しており、ドローンに興味がある方・ドローンでのビジネス展開を検討されている方の資格認定からご支援を行っております。

【保有資格】
JDAインストラクター
JDA安全管理者
UAV1級操縦士
農業用アグリドローン操縦士