近年ドローンは様々な分野に活用されており、今後も目覚ましい活躍の場が期待されています。
一昔前までは、ドローンの種類にはほとんど選択肢はありませんでしたが、時代の進化とともに沢山の種類が発売されています。
いざドローンの購入を検討した時に「どのドローンを購入すれば良いかわからない」「自分の使用用途にあったドローンがどれかわからない」などと迷う事ないように、ここではドローンの種類と選び方をご紹介します。
ドローンの分類と使用用途の違い
ドローンと一括りに呼んでいますが、大きく分類すると「ドローン」と「トイドローン・ホビードローン」に分類することができます。
ドローン
ドローンとは、主に200g以上の重量があるドローンを指します。
ドローンは航空法上の無人飛行機に当てはまるので、屋外で飛行させる時には専用の免許や国土交通大臣の許可が必要になるなど、多くのルールを守りながら飛行させる必要があります。
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トイドローン・ホビードローン
一方で、199g以下のドローンをトイドローン・ホビードローンと呼び、航空法の対象ではありません。
基本的に屋内で飛ばすことを目的として作られています。
ドローンの種類
ドローンは重量により分類できるとご説明致しましたが、更に用途により次のような種類があります。
ホビー用トイドローン
小型なものが多く、ほとんどのものが屋外で飛行する推進力がありません。
法律上で「小型無人機」という扱いになるので、航空法の規制対象ではありません。
しかし、屋内で飛ばすことを目的に製作されているので、屋外の航空法による危険区域では「無人航空機」同様に飛行が制限されますので注意が必要です。
値段としては10,000円以下の安価なものが多いので、入門機や練習機として購入されることもあります。
トイドローンで最も人気のある機種は「Tello」です。
RyzeTechnologyという中国のメーカーのドローンですが、トイドローンでありながら空撮用ドローンで有名なDJI社のフライトコントロール技術が採用されています。
専用のアプリでスマホを使用しての操作が特徴で、本格機にも負けない安定飛行をします。
空撮用ドローン
最も一般的なドローンとして認知度が高い種類になります。
200g以上のドローンで、高性能の動画や静止画撮影機能を有したドローンのことをいいます。
トイドローンとは異なり、200g以上のドローンでは航空法が適用されます。
飛行させるのは事前に資格取得が必要で、国土交通省の許可をとって飛行ルールを遵守する必要があるケースもあるので注意が必要です。
ドローンの大きさは手のひらサイズの小型タイプから、オールマイティーな機能がある中型タイプや映画などの撮影に使用する大型のドローンまで幅広いラインナップが存在します。
SNSやYouTubeなどで見られる多くの動画が、この種類の小型〜中型のドローンで撮影されています。
空撮用ドローンとして圧倒的な人気を誇るのは「DJI Mini 3 Pro」です。
DJI社はドローンでの認知度が最も高い中国のメーカーです。
249gの小型機種でありながら4K対応で「3方向障害物検知」機能を搭載しています。
1本のバッテリーを使用して約30分の飛行ができる性能も魅力的です。
産業用ドローン
現在最も開発が盛んに行われているのが、災害救助用や建設現場での安全確認目的、農業向けなどに見られる産業用のドローンです。
今まで人が侵入することができなかった危険な場所での状況確認や、安全確認などを目的に使用されます。
機体の大きさは大型のタイプが多く、赤外線カメラや高性能LiDAR(レーザー測量)を搭載した特殊な機体もあります。
使用用途は多岐にわたり、以下のような分野での活躍があります。
農業分野 | 物流分野 | 点検・測量分野 |
---|---|---|
上空から広大な農地に農薬を散布したり、肥料を半自動で散布させる機能が付与されている。 以前はラジコンヘリを高度な技術で操作する必要があったが、ドローンの活用により利便性が格段に上がり普及に繋がった。 | 大型で遠距離の自律飛行が可能なドローンを使用して運搬作業をします。 積載重量も100㎏以上運搬できるモデルもあり、海外では既に自動倉庫の在庫管理や監視カメラとして使用など産業導入されている地区もあります。 日本国内では、現在離島への医療物資運搬や山間部への物資配送などの実験が行われており今後期待する分野と言われます。 | 高層ビルや公共インフラなどを点検する際に、前途で紹介した赤外線カメラや高性能LiDARを搭載したドローンで点検業務を行います。 高所での危険を回避できるとともに、足場の組み上げ時間が必要ないため短時間で点検・測量が行えます。 |
シチュエーション毎に様々な機体が各メーカーよりリリースされております。
その中でも注目度が高いのはソニーとZMPの合弁会社「エアロセンス株式会社」が製造している国内メーカーが製造する「AEROBO(エアロボ)」です。
AEROBOは主に測量や運搬用の機体になりますが、完全に自動で操縦ができる全自律飛行が特徴です。
現場での劣悪な環境にも耐えうるべく、防水・防塵・耐風性能が付与されています。
レース用ドローン
プロペラやモーター、コンピューターなどすべてを取り換え可能で最高時速も時速100km以上と言われているほど速い操作性ができる特性があります。
海外ではすでにメジャーな競技となっており、賞金総額1億円以上の大会も多く開催されています。
レースのカテゴリーも複数あり、重量が30g〜50gの軽量ドローンで競い合う「マイクロドローンレース」や、操縦席から直接ドローンを目視してレースを競い合う「目視ドローンレース」や専用ゴーグルを着用して争う「FPVドローンレース」などがあります。
ドローンは安全装置などが付与されていない代償として、トリッキーな飛行が可能であり、機体に付けられたカメラで迫力あるリアルタイム画像を見ながらレースを楽しむことができます。
レース用ドローンで人気がある機体は「WALKERA Rodeo 110」です。
中国本社の企業で、レース用のドローン制作に非常に定評のあるメーカーです。
レース用ドローンは軽量でパワフルな飛行性を要求されますが、この機体は150g未満の重量でありながら世界的に人気な「F3フライトコントローラー」が採用されており、入門者から上級者まで幅広く満足できる性能があります。
FPVドローン
「FPV」とは、First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)の略で、主に一人称視点という意味です。
一人称視点はドローンから見下ろした視点のことで、FPV機能を搭載しているドローンでは専用ゴーグルやスマホなどでリアルタイム映像を確認しながら操作が可能となります。
ドローンからスマホやiPadなどに映像データを飛ばす電波は、日本国内では規制があり、2.4GHz帯の電波のみ資格なしで利用可能です。
産業用のドローンでは、資格が必要な5.7/5.8GHz帯を使用します。
レース用のドローンにもFPV対応のドローンがあり、障害物探査機能やホバリング機能が付いていない製品が多いため操作が非常に困難でもあります。
FPVドローンの中で国内外の購入者が特に多いのは「DJI FPV」です。
DJI社の製品になりますが、最高時速が140km出るのでドローンレースにも使用されることが多く地名度は非常に高い機体です。
人気の秘密は、ゴーグルによる超広角150°のビューが可能で異次元の没入感を体験できます。
水中ドローン
水中ドローンとは、主に海洋ビジネスや調査の際に使用される潜航が可能な小型無人潜水機のことを呼びます。
潜水作業が必要となる現場では、作業員の安全対策と体力的負担を考えて作業をさせる必要がありましたが、水中ドローンの登場で作業効率が著しく向上させることに成功しています。
水中ドローンの活用事例としては次のようなものがあります。
項目 | 水中ドローンの活用シーン |
---|---|
土木建築 | 洋上風力発電や港湾施設の海中ケーブルなど、水中にある構造物を建設する際に現場確認等で使用される。 |
インフラ設備点検 | 発電所や工業用水管路、下水路、電力取水管送水管等の整備確認や、湾岸施設および船舶などの点検作業を行う。 |
水産業 | 人が潜ると危険を及ぼす深海での海底生物採取や、水族館の点検や水質調査など調査目的での使用も多数ある。 |
エンターテインメント | ダイビングなどのレジャーで水中撮影や釣り堀などの管理、メディア等での水中映像撮影にも使用される。 |
救助・安全管理 | 水難救助での安全確認、水害時での現状把握、沈没船の捜査などの水中作業確認で用いられる。 |
商業ドローン同様に、水中ドローンも様々なシチュエーション毎に機体を使い分けます。
その中でも汎用性が高く世界的に高く評価されているのが「GLADIUS MINI S」です。
中国本社の企業が製造しており、多用途に活躍できるオールラウンドタイプとして人気があります。
秒速約2mの速度での航行が可能で、水深は100mまで潜ることが可能で、水平移動は200mまで対応しているので幅広く移動できます。
専用アプリを使用してワンタッチでSNSなどに動画をUPする機能もついているので商業利用からプライベート利用まで幅広く使用されています。
ドローンの選び方
ドローンには用途別に様々な形状があることがわかりました。
では実際に購入する場合、何に気をつければ良いのでしょうか?
ここからは選び方の基準と主要な機能をご紹介します。
ドローンの操作方法は2種類
ドローンの形状を見るとどのドローンも似たような左右対称の形状をしていますが、操作方法は主にラジコンタイプと自律飛行タイプの2パターンがあります。
ラジコンタイプ
ラジコンタイプは非常に簡易的な構造になっており、ドローンを目視しながらプロポを操作します。
手軽に飛ばせる事とは裏腹に、制御装置などは付いていないので水平飛行や同じ場所にホバリングをするのにも慣れが必要です。
慣れるととても繊細な飛行ができるのが特徴です。
自律飛行タイプ
電源を入れると自動的に自律飛行で飛ぶタイプです。
事前に目標をセットすると自動的に経路に従い飛行しますので、初心者でも簡単かつ安全に飛行させることができます。
操作は専用のアプリを使用してスマホやタブレットでの視覚的操作が可能です。
実際にスマホに送られてくるリアルタイムの動画を見ながらの飛行も可能なので、衝突などの事故が比較的少ない安全な操作方法になります。
ドローンの本体サイズ
ドローンの最大の魅力はコンパクトであることです。
羽根を折りたたむと手のひらに収まるサイズの製品も沢山あります。
遠方に持ち運んで使用するケースが多い場合はコンパクトで軽量なドローンが良いです。しかし軽量であるため、風に煽られて思ったような操作ができない場合もあります。
ご自身の使用シチュエーションに合わせて本体の大きさや重量を選定すると良いでしょう。
飛行時間と距離
トイドローンなどコンパクトな製品は、一般的に最大飛行時間も10分程度とあまり長い時間飛ばすことはできません。
空撮を楽しみたい場合は20分〜30分飛行できるモデルを選ぶとストレスなく撮影に集中できるでしょう。
最大飛行時間が短いモデルでも、予備のバッテリーを持参して飛行時間を伸ばす方法もあります。
カメラ性能
手軽に臨場感あふれる空撮を楽しめるドローンですが、使用用途も幅広くなりドローンのスペックは年々進化しております。
ドローンに搭載されるカメラは主に次のような解像度のカメラが使用されます。
- HD(1280×720ピクセル)
- Full HD(1920×1080ピクセル)
- 2.7K(2704×1520ピクセル)
- 4K(3840x2160ピクセル)
- 5K(5120×2880ピクセル)
テレビなどでは4Kのものが一般的になってきておりますが、カメラの性能も「4K」(3840x2160ピクセル)対応のものも数多くリリースされています。
空撮を楽しむ場合は、Full HD(1920×1080ピクセル)以上で撮影できる機能を有したドローンの選定がおすすめです。
高画質に対応するということは、その分だけ保存する大きな容量が必要になるので大容量のマイクロSDやSDカードなどの準備も必要になります。
飛行機能と操作性機能
ドローンの操縦は、ヘリコプターなどのラジコンと比べると比較的操作は難しくはありません。
しかし操作を誤ると人や物にぶ使った場合、大きな事故の原因にもなります。
初心者は操作性のよい次のような機能があるドローンを選定すると良いでしょう。
ジャイロ機能
機体の傾きを自動で調整し、水平を保ってくれる機能です。
ドローンの飛行を初心者でも技術が必要なく安定してホバリングさせる効果があります。
GPS機能
携帯などにも付与されているGPS機能をドローンにも付けることができます。
これにより自動操縦や、スタート位置に自動で戻ってくるような操縦も設定できるので操作ミスでドローンを紛失する恐れもありません。
障害物検知機能
初心者が一番ミスする操作は障害物への衝突です。
この機能が搭載されたドローンは、障害物を検知して自動で回避してくれるので損傷を防ぐことができます。
自動ホバリング機能
操作を止めた場所で自動的に空中静止させる機能です。
空撮などする場合は、安定して同じ場所で静止させ映像を録画させたりするのに必須の機能です。
自動追尾機能
被写体をあらかじめ設定すると、自動で被写体のスピードに合わせて追尾しながら撮影ができる機能です。
操作する必要が無いので、両手を自由に使用した様々な自撮りなどに便利な機能です。
登山やマウンテンバイクなどでの臨場感溢れる動画が撮影可能になります。
自動帰還機能
ワンキーリターン機能とも言われますが、ボタン1つで操作開始場所に自動で戻る機能です。
飛行中にドローンを見失った場合や、電波障害で操作不能になった場合など自動で帰還します。
初心者の場合は帰還操作が困難になった場合などで使用すると安心な機能です。
ヘッドレスモード
ドローンのほとんどが左右対称のデザインを採用しています。
飛行中に前後左右どちらを向いて飛んでいるのか、慣れないうちはなかなか判別できません。
誤った方向に進めてしまうと衝突など危険なことになる恐れがあります。
このヘッドレスモードを利用すると、常に操作レバーを倒した方向にドローンを動かすことができるので、初心者にとても優しい機能になります。
人気のドローンメーカー
ドローンを選ぶのに一番気になるのは知名度と人気です。
知名度があるということは、それだけ認知され安心にもなります。
そして人気がある機体はパーツなどが豊富にあるので故障した場合などにもすぐに修理対応できるメリットがあります。
ここではドローンメーカーとして有名な4社をご紹介します。
DJI(ディージェーアイ)
前途でもご紹介しましたドローンで最も知名度のあるメーカーです。
世界シェアはNO1クラスで、安心な業界最大手のブランドです。
人気機体の「Mavic Mini」は価格が3万円台にも関わらず、驚くほどの高画質で空撮できるので入門機としては絶大な人気を博しています。
Parrot(パロット)
フランスが本社のドローンメーカーで、FPV機能があるドローンの製造が得意で世界的に人気があります。
日本でもParrot社が製造するドローンは人気で、自衛隊が正式採用した4KHDRドローン「ANAFI」シリーズは、180°回転ジンバル機能や3軸ブレ補正などの機能が搭載されており、200g以下のトイドローン では実現できない安定飛行性能を備えています。
Holy Stone(ホーリーストーン)
HolyStoneは中国に本社を構えるドローンメーカーです。
特にトイドローンでの評価が高く、機能面とコスト面のバランスが良いと評判で初めて操作する入門機としておすすめです。
特に人気があるのは「Holy Stone HS440」です。200g以下の重量でありながらカメラの角度調整が可能で20分の連続飛行できます。
3DRobotics(スリーディーロボティクス)
通称3DRと呼ばれるメーカーで、ドローン先進国アメリカに本社を構えます。
世界3位のシェアを誇り、産業用ドローンでは世界中の建設現場での採用があります。
代表的なモデルは「solo」が挙げられます。
オープンソースで設計されているのでニーズに合わせたフルカスタマイズが可能となります。
アクションカメラのGoProと提携しており、GoPro搭載のモデルもあり空撮機能に優れております。
ドローン飛行での注意点
200g以上のドローンは、航空法で飛行させる際の遵守すべきルールを10個定めています。
- アルコール又は薬物等の影響が見られる下で飛行をさせないこと
- 飛行の前には現場確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突すること無いよう予防し飛行させること
- 他人に迷惑が及ぶ方法で飛行をさせないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行をさせること(夜間飛行の禁止)
- 目視(直接肉眼による確認)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 第三者又は第三者の建物、自動車などの間に30m以上の距離を保って飛行させること(対象物との近距離飛行の禁止)
- イベント、縁日など多数の人が集まる催しものの上空で飛行をさせないこと
- 加薬やアルコール、その他爆発物などの危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下させないこと
ドローンを飛行させる場合はこの事を遵守しないといけません。
もし違反すると30万円以下の罰金を支払わなければならないケースもあります。
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トイドローン は例外?
トイドローン の場合は、上記規制対象外になりますがあくまでも航空法のみ規制外になります。
航空法以外にも次のような規制があります。
- 無人航空機等飛行禁止法
- 道路交通法
- 公園条例
- 森林管理条例
- 電波法
- 個人情報保護法
- 港則法
- 河川法
このような規制があるので、公園で規制されている場所での飛行はできませんし、川や山でも同様に条例により飛ばせる場所が限られています。
家のバルコニーからトイドローンを飛ばして空撮をした場合、もし他の家が写り込んでいたら個人情報保護法に抵触する可能性などもあります。
知らなかったでは済まされませんので、よく注意して飛行させる必要があります。
まとめ
ドローンの種類とおすすめの機体をご紹介しました。
今後ドローンを使用した職業も増えることが予想されるので、トイドローンなどから練習すると良いかもしれません。
ドローン産業に関しては、日本はまだ発展途上なので今後多数の業界で採用され生活が豊かになると良いですね。