2016年頃からドローンの普及が急速に加速し、それに伴いトラブルなども増加しました。
その影響もあり、ドローンに関する様々な法整備がなされ、そして資格や免許が新設されています。
公認や非公認の資格を含めるとその数は今後、更に膨れ上がっていくことでしょう。
このような状況下で資格を習得しようと考えても、
「どの資格を習得すればよいかわからない」
「資格習得にいくら費用が掛かるかわからない」
などと迷ってしまうのではないでしょうか。
ここでは、ドローンの操縦に必要な資格と免許、そしてドローンの制度や資格の種類や費用がいくら掛かるかをご紹介します。
Contents
ドローンを飛ばすのに免許・資格は必要?
ドローンにはいくつかの認定資格がありますが、車の運転免許証のような公的期間が発行しているものはありません。
よってドローンを飛ばすのに免許がいるのかと言われると、結論を申し上げると免許はいりません。
しかしながらドローンを何の目的で使用するのか、どの様な場所で飛ばすのかにより法律や条例で規制されます。
また2022年12月5日よりドローン国家資格制度(無人航空機操縦士)が開始されたことにより、ドローンの飛行目的によりライセンスを所持していないと飛行ができないケースが発生しております。
ではドローンの操縦ライセンス制度とはどの様なものなのでしょうか?
操縦ライセンス制度
なぜ今のタイミングで操縦ライセンス制度が導入されることになったのでしょうか?
アメリカなどではすでに、ドローンを用いた無人航空機産業が盛んに行われています。
日本でも今後ドローンを用いた産業が加速し、様々なシーンで利用活用が想定されています。
操縦ライセンス制度は今後訪れる問題に対応する為に、ルールを明確にして運用を行う法整備のようなものです。
制度導入の目的
操縦ライセンス制度の一番の目的とは、レベル4飛行の実現を目標としています。
このレベルとは、国交省によって定められているドローンを用いた社会実装のためのロッドマップ上の到達点を言います。
各レベルに関して以下のように設定されています。
レベル | 内容 |
---|---|
レベル1 | ドローンの活用が実現している状況の一つで、現航空法の規制を受けない飛行の形態。 主に目視内操縦で空撮や橋梁、送電線などのインフラ点検などをおこなうための飛行。 |
レベル2 | ドローンの活用が実現している状況の一つで、現航空法の規制を受ける飛行の形態。 主に目視内での自動・自律飛行にて農薬散布をしたり土木測量をおこなう飛行。 |
レベル3 | ドローンを使用して無人地帯における目視外飛行で荷物の配送が実現できている社会。 補助者なしという前提で、離島への荷物配送や災害時の調査を目的とした飛行。 |
レベル4 | 自律飛行(自動運航)のドローンが多数活躍する社会。 ドローンを今まで禁じられていた第三者上空で補助者無しで目視外飛行させる飛行。 |
現在レベル3までの飛行が実現されてきておりますが、人口の多い都市部においてレベル1〜3の飛行形態を実現させる為に作られた制度となります。
国家資格ライセンスは2種類
無人航空機操縦士には、一等資格と二等資格があります。
この二つのライセンスの明確な違いは、飛行可能な場所が異なることです。
前途でレベルのご紹介をしましたが、一等資格はレベル1〜4に対応します。
二等資格はレベル1〜3までに対応します。
要は有人地帯での目視外飛行が「できる」か「できないか」の違いになります。
技能証明の限定
技能証明の限定とは、ライセンスを取得したものがその機体の特性や飛行の実態を踏まえて必要な技能があると試験により認められた範囲のみ特定飛行が認められることです。
機体の種類としては、
- 回転翼航空機(マルチローター)
- 回転翼航空機(ヘリコプター)
- 飛行機(固定翼)
の3種です。
よってマルチローターの機体を用いて無人航空機操縦士試験の合格を得ても、ヘリコプターでの特定飛行は認められません。
飛行方法の限定解除事項
以下の3項目の飛行は航空法により厳しく規制されています。
- 25kg以上の機体
- 夜間飛行
- 目視外飛行
この規制に抵触することなくドローンを飛行させるには、事前に国土交通省への申請と承認が必要です。
事前に申請が必要なのである程度余裕を持って行動しないと、いざ必要の際に承認されていなければ違反になります。
この面倒な書類審査を簡略できるのが限定事項です。
例えば25kg以上ある機体重量のドローンを用いて、夜間に第3者上空の目視外飛行をしたいと考えた場合は、前途の項目を解除する講習を受けて合格する必要があります。
ドローン国家資格「無人航空機操縦士」の取得方法とその費用
ドローンの国家資格を取得する方法は「専門のスクールを受講する方法」と「自身で独学勉強して試験を受ける方法」の2パターンとなります。
知識の習得とともに実技試験も行われますので、車の免許の同様にいきなり試験を受けて合格できるような簡単なものではありませんので注意が必要です。
スクールを受講する
2022年12月5日よりドローン国家資格制度が導入されたばかりなので、現在各スクールはその準備に取り掛かっている状況で、先行して2等資格取得コースの開講情報がやっと公開されてきました。
1等資格の受講コースは4月以降に開講される動きのようです。
2等資格講習の受講費用
2等資格講習の受講費用は、一般的な他の民間ドローン資格コースの相場よりも若干高い25万円〜35万円になると想定されています。
国家資格となるので、他の資格コースと異なり必要受講時間が明確に定められているので通常より長い受講期間が必要になります。
1等資格講習の受講費用
現時点で各ドローンスクールともに詳細が公表前なので、当サイト独自に各スクールに聞き取り調査を行った結果45万円〜60万円程度のコストラインになると予想されます。
学科試験の手数料と実地試費用
学科試験
種別 | 手数料 |
---|---|
一等学科試験 | 9,900円 |
二等学科試験 | 8,800円 |
実地試験
機体の種類 | 等級 | 試験の種類 | 金額 |
---|---|---|---|
回転翼(マルチローター) | 1等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 22,200円 |
回転翼(マルチローター) | 1等 | 限定変更 | 20,800円 |
回転翼(マルチローター) | 2等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 20,400円 |
回転翼(マルチローター) | 2等 | 限定変更 | 19,800円 |
回転翼(ヘリコプター) | 1等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 22,600円 |
回転翼(ヘリコプター) | 1等 | 限定変更 | 21,200円 |
回転翼(ヘリコプター) | 2等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 20,900円 |
回転翼(ヘリコプター) | 2等 | 限定変更 | 20,300円 |
飛行機 | 1等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 23,800円 |
飛行機 | 1等 | 限定変更 | 22,400円 |
飛行機 | 2等 | 基本(昼間・目視内・25kg未満) | 21,500円 |
飛行機 | 2等 | 限定変更 | 20,900円 |
身体検査
受検方法 | 手数料 |
---|---|
書類での受検 | 5,200円 |
会場での受検 | 19,900円 |
学科講習時間
【初心者】
- 1等資格:18時間以上
- 2等資格:10時間以上
【経験者】
- 1等資格:9時間以上
- 2等資格:4時間以上
実地講習時間
【初心者】
- 1等資格:50時間以上
- 2等資格:10時間以上
【経験者】
- 1等資格:10時間以上
- 2等資格:2時間以上
※経験者とは、民間の資格を有した人ということになりますが、未経験者と経験者では圧倒的に経験者が有利で、取得にかかる時間が大幅に変わります。
ドローンの民間資格の種類
ドローンの国家資格「無人航空機操縦士」が新たに導入されたことをご案内しましたが、国家資格ができるまでは民間の資格や検定が中心で、その資格の数も国土交通省の公認を受けている資格だけで40種類以上あります。
主要な資格は4種
管理団体ごとに様々な資格が発行され、似ている資格でありながらレベルに差があったりしてどの資格を取得すれば良いかは人により変わります。
一般的に主要といわれる資格は、以下の4つです。
- 日本ドローン協会(JDA)の資格
- DJICAMP認定資格
- 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の資格
- JUIDAドローン資格
日本ドローン協会(JDA)の資格
日本ドローン協会(Japan Drone Association)通称JDAが開催する講習で取得できる資格で、ドローン検定とも呼ばれます。
JDAドローン資格は、「JDAインストラクター」「UAV1級」「UAV2級」「UAV3級」「JDAドローン安全管理者」「アグリドローン」の6種類があります。
資格 | 特徴 |
---|---|
JDAインストラクター | ドローンに関する高度な知識と操作技能を習得しており、講師として日本ドローン協会で指導できる方に付与する証明証。 |
UAV1級 | ドローンを業務にて利用する上での高度な知識と操作技能を習得していると認めた方に付与する証明証。 |
UAV2級 | ドローンを業務にて利用する上での基本的な知識と操作技能を習得していると認めた方に付与する証明証。 |
UAV3級 | 初心者はまずここからのスタートです。 ドローンに関する基本的な知識と操作技能を習得していると認めた方に付与する証明証。 |
JDAドローン安全管理者 | ドローン業務を行う上で、業務の安全遂行性を高めるための予備知識を身につけた方に付与する証明証。 |
アグリドローン | ドローンで農薬散布を行う上での知識と操作技能を習得していると認めた方に付与する証明証。 |
UAVは基本的に3級からとなりますが、2級相当のレベルを有しているという方の場合は他の団体で取得している証明書の提示と技術確認を以って2級からのスタートも可能です。
特徴
「安全」「研究、開発」「教育、コンサル」「エンタメ」の4つの大きなビジョンがあり、特に安全面においては、安全講習会やセミナーなど積極的に開催しています。
他のスクールとは異なり農薬散布コースや赤外線カメラ活用講座コースなども用意されているので、趣味やビジネスシーンに必要なコースを選択できます。
JDAのドローン資格講座料金
JDAのドローン資格は、JDAが管轄するドローンフィールドが提携しているスクールにて講習、実技を行い、合格することで取得できます。
特にドローンフィールドは広大な敷地を有しているフィールドが多く夜間飛行などにも対応している場所もあります。
費用面では、受講したい級により費用が異なり88,000円〜165,000円です。(受講スクールにより費用は多少異なります)
アグリフライヤーの方は、農薬散布コースとして132,000円〜の受講が可能です。
JDAの級とのセットで受講する場合は264,000円〜319,000円で合わせて受講できます。
安全に対しての取り組みに力を入れて活動している団体なので座学だけでの学科授業もあり、オンライン講座が16,500円〜33,000円で自宅から受講できます。
DJICAMP認定資格
ドローンの購入を検討した人なら大抵の方が耳にする大手ドローンメーカーであるDJIの日本支社「DJI JAPAN」が主催する講習を修了すると得られる資格です。
認定資格はレベルに応じて3種類の段階に別れています。
- DJIスペシャリスト
- DJIインストラクター
- DJIマスター
DJICAMP認定資格は、法人向けのドローン操縦者育成プログラムと位置づけられているので、この資格を取得しているとDJI製のドローンを操縦する正しい知識・飛行モラルを取得していると証明できます。
DJI製のドローンを所持しているのであれば取得して間違いない資格の一つです。
DJIインストラクター、DJIマスターとレベルを上げることで、DJIスペシャリストの育成をすることができます。
特徴
10時間以上のドローン飛行経験を事前に積む必要があります。
初心者向けというよりは、今まで培った操作技術を評価してもらうための資格です。
DJI社の製品を使用している人は、この資格を取得することでDJI賠償責任保険の割引を受けることができます。
DJIスペシャリストの受講費用
DJIスペシャリストの資格を取得するには、DJICAMP運営事務局が認定したDJI CAMPインストラクターが在籍する全国の認定キャンパスで二日間の講義を受講し、筆記試験と飛行技能試験に合格することで認定されます。
費用は認定キャンパスにより異なる場合がありますが一般的に66,000円(税込)〜となります。
DJICAMPを修了することで、国土交通省への各種申請を簡略化できるメリットもあります。
一般社団法人ドローン操縦士協会(DPAディーパ)の資格
一般社団法人ドローン操縦士協会が管理する資格「DPA(Drone Pilot Association)」は、「ドローン操縦士回転翼3級」と「ドローン操縦士回転翼3級インストラクター」の2種類あります。
「DPA」の特徴は、国交省が管理する認定基準を遵守して講習カリキュラムが作られていますので、ドローンを用いて仕事をしたいと考えている人に適していると言われている資格です。
特徴
機体により多く触れて操作技能を伸ばすカリキュラムを組まれているので、操作技能の向上を図りたい人に向いています。
カリキュラムや受講料が全国共通なので安心して選定できます。
認定スクールが大都市にしかないので、都会近隣に住む人は利便性が良いでしょう。
「ドローン操縦士回転翼3級」の受講費用
DPAが認定するスクールに講座を申し込み、試験に合格することで取得できます。
費用は認定スクールによって異なりますが、受講期間は3日〜で200,000円前後となります。
JUIDAドローン認定資格
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(Japan UAS Industrial Development Association)通称「JUIDA」が管理する資格で「無人航空機操縦技能」と「無人航空機安全運航管理者」の2種類があります。
「無人航空機操縦技能」は、実技試験があり取得後はドローンを飛行させるための基礎的な知識・技術を有すると証明できます。
「無人航空機安全運航管理者」は、ドローンの飛行業務を行う上で安全に軌道管理できる能力が身についていることを証明できます。
特徴
ドローンの操作および知識が完全に無い初心者が資格を取得するのに比較的安価です。
そして全国に200以上の認定スクールがあるので、ドローンスクールが少ない地域にお住まいでも近隣に見つけやすいです。
「無人航空機操縦技能」と「無人航空機安全運航管理者」の受講費用
JUIDAが認定しているドローンスクールで、規定のカリキュラムを受講し試験に合格すると取得できますが、各スクールでは規定カリキュラムと+αの講義を行うことが多く、講義の費用や日数(3日〜)もそれに伴い違いがあるようです。
費用的には120,000円〜250,000円です。
ドローンの国家資格と民間資格との違いは何?
ドローンの資格には、国家資格と民間の資格が多数あります。
一等資格ではレベル4飛行が可能になるメリットがるので取得する意味があるように思われますが、国家資格の「2等資格」と民間資格の「ドローン操縦士回転翼3級民間資格」や「UAV1級」は何が異なるのでしょうか?
2等資格のメリット
現時点での2等資格のメリットは、以下の場合でドローンを飛ばす際に国土交通大臣に対する飛行申請が免除されることのみですが、飛行の際に都度申請を行い承認をもらうのは大変煩わしく時間がかかります。
- 人口集中地区(DID地区)上空を飛行
- 目視外での飛行
- 人、物との距離30m未満の飛行
- 夜間飛行
この作業が不要になるだけでも、頻繁に飛行させる人からすると大きなメリットと言えるでしょう。
ただし注意しなければならないのは、全ての申請事項が不要になるということではありません。
2等資格以上を取得したとしても次の飛行の際は許可と承認が必要です。
- 空港周辺の飛行
- 高度150m以上の上空を飛行
- イベント上空を飛行
- 危険物を輸送する飛行
- 物件を投下させるための飛行
今後民間資格との差別化を図るために、資格を保有している人でないと飛行できないような追加制度などの変更が加わる可能性があります。
ドローンを飛ばす場合に無線資格が必要なケースがある
ドローンの資格を各種解説しましたが、ドローンを飛ばすのに資格や申請だけではなく無線資格が必要なケースがあります。
そもそもドローンは無線で操縦をする機械なので、ある程度の高度や飛距離を操作しようとすると、無線の免許がないと操作できないようなイメージがあります。
一般的に日本販売している汎用ドローンでは、下の郵便局のマークような「技適マーク」が付いている製品がほとんどで、無線免許の必要はありません。
技適マークが付いていることで、電波法令で定める技術基準に適合している製品であるということになるので安心して使用できます。
日本で販売されているラジコンや一般向けのドローンは、主に2.4GHz帯と言われる無線周波数を使用しています。
2.4GHz帯(10mW以下)を使用する場合は、無線免許は不要ですが、この周波数が5.7GHz帯や5.8GHz帯の場合は無線免許が必要となります。
第三級陸上特殊無線技士が必要なケース
産業用のドローンは高伝達の無線電波を長距離飛ばす必要があるので、その点に優れた5.7GHz帯(出力最大1W)を主に使用します。
この周波数を使用するのに必要な資格が第三級陸上特殊無線技士です。
第三級陸上特殊無線技士の資格が必要な周波数は、この他にも2.4GHz帯(出力最大1W)、169MHz帯(出力10mW)更にこれ以外の周波数でも73MHz帯、920MHz帯、1.2GHz帯など使用することもあります。
第四級アマチュア無線技士が必要なケース
ドローンのことを勉強していると「FPV」という言葉を目にするのではない証でしょか。
「FPV」とは、First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)の略で、1人称視点からドローンの飛行をリアルタイム映像でスマホやタブレットで楽しむことができるシステムのことをいいます。
ドローンレースなどの迫力ある映像はこのFPVの映像です。
FPV対応のドローンを操作するのに使用する周波数が5.8GHz帯となります。
この周波数は使用の目的で必要な資格が異なります。
個人利用の場合は、第四級アマチュア無線技士の資格が必要で、産業用として使用する場合は前途の第三級陸上特殊無線技士の資格が必要です。
ドローン業界の展望、将来性
ドローンを操縦する国家資格が誕生したことで、今後ビジネスとしてのドローン使用がまずます加速すると考えられています。
特に機体を活用したサービスの市場規模が大きく拡大すると予想されており、それに伴い必要になる機体の大型拡張や周辺サービス市場も2025年度までに大きな伸び率になると考えられています。
しかしながら、現時点ではまだまだ技術先行型傾向があり、スマートフォンが世の中に出現した時と同様に、利便性の認識不足や理解の不足、社顔的受容性の不足は否めません。
今後は自衛隊や警察、消防などの機関が積極的に使用することで普及を後押しできれば早い段階での普及も可能なのかもしれません。
まとめ
ドローンの国家資格や民間の資格の種類と費用をご紹介しました。
国家資格が新設されたことにより、民間の資格は必要ないように思えますが、ゼロからドローンの操作を始めようと考えている場合などは民間のスクールに通い技術習得してからステップアップとして国家資格に望むのも良いかもしれません。
今後はドローンを用いた職種が増えると予想されますので、国家資格や民間の資格を取得して新たな業界に転職するケースなど選択肢が増えてきそうです。
自身にあった資格を取得して最終的に国家資格の取得を検討してみてください。