2022年12月にドローン国家資格制度が開始されたこともあり、ドローンを飛ばすには一概に国家資格と共に無線免許が必要なのではと考える人が多いようです。
ここではドローンを飛ばす際に、無線免許が必要なケースと免許の取得方法などをご紹介します。
Contents
ドローンを飛ばすには電波法に注意
ドローンの操縦や映像の伝達は無線電波を使用して通信します。
よって電波法について理解した上で適切な方法にて飛ばす必要があります。
目に見えない電波なので、知らないうちに法律に違反していたなどのケースも多々あるようなので気を付けましょう。
電波法とは?
電波法とは、電波を公平で効率よく使用するための法律であり、これにより無線局同士の通信を混乱させないようにすることを目的としています。
電波は飛行機などにも用いられているので、混線や電波干渉が発生すると大事になります。
ドローンで使われる電波の種類
ドローンでは主に「2.4GHz帯」と「5.7GHz〜5.8GHz帯」の2種類の電波周波数帯が使用されます。
2.4GHz帯
Bluetoothや多くの家電製品・電子機器に使用される周波数で、遠くまで電波を届ける特性があります。
遮蔽物にも強い為、Wi-Fiなどの無線もこの周波数を使用しています。
汎用性が高い反面、使用されるケースが多い為に電波同士で干渉し接続が弱くなることもあります。
5.7GHz~5.8GHz帯
日本では気象レーダーのような特殊なものに使用されることが多い電波で、2.4GHz帯と比べ通信距離が短く障害物に弱い特性があります。
5.7GHz〜5.8GHz帯のメリットとしては、通信速度が高速で電波干渉などが受けにくいことがあります。
ドローンには無線免許が必要なケースがある
前途の2.4GHz帯を使用したドローンであれば無線免許は必要ありません。
しかし、2016年に電波法が改正され「ドローンにて5.7GHz〜5.8GHz帯の使用飛行が可能」となった為に、この周波数でドローンを飛行させる場合は「第三陸上特殊無線技士」や「第四級アマチュア無線技士」の資格が必要となりました。
ドローン飛行に必要な無線免許2種類
2.4GHz帯を使用しているドローンで「技適」マークがあるドローンは無線免許が必要ありません。
しかしながら5.7GHz〜5.8GHz帯を使用したドローンは「第三陸上特殊無線技士」や「第四級アマチュア無線技士」が必要になります。
第三陸上特殊無線技士
営利目的で業務上ドローンを使用する場合、以下の3つの周波数は免許を必要とします。
趣味での使用ではなく、ドローンでの仕事をする際に必要な資格となります。
- 周波数169MHz、出力10mW
- 周波数2.4GHz、出力最大1W
- 周波数5.7GHz、出力最大1W
陸上特殊無線技士には種類が第一から第三まであり、第三陸上特殊無線技士以上の資格があればドローンを飛ばすことができます。
取得方法
第三陸上特殊無線技士免許を取得するには2つの方法があります。
- 第三陸上特殊無線技士養成課程講習会の受講
- 国家試験を受験
第三陸上特殊無線技士の受験資格には年齢制限は無く、合格率も70~80%程度となっており比較的取得しやすい免許です。
第三陸上特殊無線技士養成課程講習会の受講
第三陸上特殊無線技士の免許を取得するには「養成課程講習会」と呼ばれる国の認定を受けた講習会を受講した後に「修了試験」に合格する(国家試験免除)方法があります。
講習会は公益財団法人日本無線協会や認定会場にて全国各地で開催されており、講習費用は18,450円〜、免許申請手数料1,750円で受講できます。
認定講習会ごとで費用が異なることがあるので事前に確認して申し込みましょう。
第三陸上特殊無線技士の国家試験を受験
講習会などを受けず、公益財団法人日本無線協会によって開催される試験に合格することでも取得できます。
試験会場は公益財団法人日本無線協会のHPにて確認ができます。
試験費用は5,600円と免許申請手数料1,750円が必要になります。
第四級アマチュア無線技士
日本でもドローンレースなどが注目を集めるようになってきましたが、レース向けのドローンやリアルタイムでドローンからの映像を見ながら飛ばす、FPV対応のドローンは5.8Ghz帯の電波を飛ばして操作を行います。
営利目的では前途の第三陸上特殊無線技士の免許が必要ですが、個人用途で5.8Ghz帯の周波数を使用する場合でも、第四級アマチュア無線技士以上の免許が必要になります。
アマチュア無線技士も種類があり、第一から第四までレベルが別れており、5.8Ghz帯の周波数のドローンを飛ばすのに必要なのは、一番下のランクである第四級を取得すれば飛行させることができます。
取得方法
第四級アマチュア無線技士免許を取得するには2つの方法があります。
- 第四級アマチュア無線技士養成課程講習会を受講
- 国家試験を受験
第三陸上特殊無線技士同様に合格率は80%以上となり、年齢問わず取得しやすい免許に成ります。
試験会場では小学生からお年寄りまで幅広い受験者を見ることができ、ドローンを操作する方以外でも、アマチュア無線初心者の登竜門として人気のある資格です。
第四級アマチュア無線技士養成課程講習会を受講
第四級アマチュア無線技士でも講習会が開かれており、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会(通称JARD)や同協会が委託した認定法人が主催となり講習会を開催しています。
この講習会を受講したのちに、修了試験に合格すると取得することができます。
受講費用は18歳以下9,850円、一般23,150円と免許申請手数料1,750円が必要です。
委託の認定法人では費用が異なることもあるので確認が必要になります。
第四級アマチュア無線技士の国家試験を受験
第四級アマチュア無線技士の国家試験は、年間を通してCTP方式で実施されています。
CTP方式の試験とは、㈱CBTソリューションズに試験会場・システムの運営等を委託して行われるものです。
試験は全国に設けられたテストセンターにて受験します。
試験会場は㈱CBTソリューションズのHPにて確認ができます。
試験費用は5,100円と免許申請手数料1,750円が必要になります。
無線免許だけではドローンを飛ばせない
FPV対応のドローンや産業用のドローンに必要な第三陸上特殊無線技士や第四級アマチュア無線技士の免許を取得したら、次に行うのは無線局の開局申請です。
開局申請をおこない、無線局の免許状発行をします。
無線局の開局申請の手順
開局申請には2つの方法があります。
- WEBでの電子申請
- 書面申請
WEB申請の場合は、PCのみでWindowsしか対応していない事と合わせて、IDおよびPASS発行に1週間かかることや、書類の記載が分かり難いなどの声が多いので、あまりおすすめとは言い難い環境です。
メリットは申請手数料が書面の場合4,300円に対し、WEB申請は2,900円と安くなるのでコスト優先の場合は良いでしょう。
手順1 系統図の入手
無線の開局申請では、まず使用するドローンの映像送信機(VTX)の系統図を入手する必要がります。
系統図は正規販売店以外ではもらえないこともあるので注意しましょう。
映像送信機(VTX)とは「Video Transmit eXchange」の略で、ドローンで撮影したカメラ映像を電波化してFPV対応ゴーグルにデータ送信させるための機器です。
このVTXのほとんどが海外製であり、日本の技適認証された製品がありません。
手順2 系統図の保証
系統図を入手したら、VTXを国内で使用しても問題ないことを第三者期間に保証してもらう必要があります。
保証機関は以下の2社です。
- JARD
- TS株式会社
初心者はHPでわかりやすく解説のあるJARDで保証を受ける方が簡単です。
費用は4,100円で1台増える毎に1,000円追加されます。
一度に複数台申請する方は、申請台数に関わらず一律4,800円のTS株式会社での保証がお得です。
手順3 必要書類提出
保証する送信機を選定したら、申請に必要な次の書面を提出します。
1.無線局免許申請書
申請書は電子申請と書面申請で費用が異なります。
電子申請は開局申請で50W以下の場合2,900円、開局申請で50Wを超える場合5,500円発生します。
書面申請では、開局申請で50W以下の場合4,300円、開局申請で50Wを超える場合8,100円発生します。
2.アマチュア局の無線設備開設保証願書
どの送信機を保証して欲しいのか記載します。
3.無線局事項書及び工事設計書(A4×2枚)
保証依頼をする送信機の具体的形式や詳細を記載します。
何を記載したら良いかわからない場合は、保証機関に連絡すると教えてもらえます。
4.電波使用料 前納申出書
アマチュア無線の電波を使用するのには、使用料を支払う必要があります。
年間300円の料金となっており、アマチュア無線の免許有効期間5年分を一度に前納することもできます。
5.返信用封筒1枚(84円切手貼付)
免許状が発行されたら、その送り先を記載した封筒を準備します。
切手の添付を忘れないようにしましょう。
6.系統図
前途で準備した系統図の添付も忘れないようにしましょう。
手順4 調査報告書
保証を依頼した第三者機関より調査報告書が届きます。
内容に問題ないか確認して返送することで全部の工程が終了します。
申請してから免許がおりるのに2〜3ヶ月掛かることもあるので、前もって申請すると安心です。
ドローン無線免許の申請及び開局代行サービスもある
初心者にとって営利目的や個人利用のドローンで使用する無線局の開局は、非常に難易度が高い申請かもしれません。
申請は難解なこともあり、途中で投げ出したような話もよく聞きます。
そのような初心者でも開局できるように、専門でアマチュア無線の免許申請から開局まで代わりに行ってくれる業者もあります。
アマチュア無線免許代行申請の業者の多くは、行政書士事務所が専門に行っているケースが多いので近隣に相談できる事務所がないか調べてみると良いでしょう。
まとめ
ドローンを飛行させるのに無線免許が必要なケースやその取得方法、開局の申請方法をご紹介しました。
ドローンは年々小型化して手軽に長時間楽しめるようになりましたが、飛行させるのに必要な確認を怠ると多くの人に迷惑をかけることになったり、時には損害賠償などを請求されることもあります。